カニについている黒い粒々(卵)が気持ち悪い…これ何?害はない?
カニをよく食べる方なら目にしたことがあるのではないかと思いますが、
たまにカニの甲羅に黒っぽい粒々としたものが沢山ついていることがあります。
明らかにゴミではないですし、形が揃っているところをみると卵みたいにも見えるのですが、
何であろうかにかかわらず、正直いって気持ち悪いと感じてしまいます。
この粒々、取ってしまっても良いのでしょうか?
それともそのままにしておいた方が良いのか…。
今回は、カニの甲羅にくっついている黒い粒々について解説します。
カニについている黒い粒々は一体何?
たまに見かける、カニの甲羅にくっついた黒い粒々。
一体これは何なのでしょうか?
カニの甲羅にくっついている黒い粒々の正体は…
カニの甲羅についている黒い粒々の正体は、カニビルの卵です。
カニビルとはその名の通り、カニに付着するヒルのこと。
魚の体液を吸って生きる寄生生物で、成長したものだと10cm以上にもなります。
卵がついているということは、カニビルがカニに寄生したのだろうと考えてしまいますが、
カニビルはカニには寄生しません。
カニビルに産みつけられた卵も、単純に甲羅にくっついているだけであってカニの中身には全く影響はありません。
カニビルがカニの甲羅に産卵する理由は、カニビルが生息している海底は柔らかい泥が多く、
産卵に適した場所がないからという説が有力のようです。
単にカニの甲羅が硬くて卵を産み付けやすいからという理由で、産卵場所となっているだけなんですね。
実際、岩など硬い地面が多い場所では、
カニだけではなく岩にカニビルの卵が産みつけられているのを見ることができます。
カニビルの卵がついているカニの方が美味しい?
多くのカニ好きの方たちの間では、カニビルの卵がついているカニは美味しい、という常識があるそうです。
なぜ卵がついている方がおいしいのか?
その理由は、甲羅を脱皮した直後のカニは、脱皮に栄養を使ってしまっているために身が痩せている傾向がありますが、
卵が産み付けられているということはそのカニが脱皮直後ではないということであり、そのカニの身入りが良いという目安になるからです。
…なんてことがよく言われるみたいですが、実際には脱皮をして間もないカニの甲羅にも、
カニビルの卵が産みつけられることはあるため、卵の有無で身入りの良さを判断することはできません。
ではなぜ、上記のようなことが言われるようになったのでしょうか?
この「カニビルの卵がついているとカニの身入りが良い」という情報は、主にはカニの販売業者側が商品を売るために言いはじめたことが、
そのまま広まったのだといわれています。
通常だと卵がついていると気持ち悪い、このカニは避けようとなりがちですが、
美味しさの証と言われれば買ってしまう人もいますよね。
業者からそう言われれば、そうなんだと信じてしまいますから。
それが、「カニビル=身入りが良い」といわれる所以だと考えられます。
カニビルの卵がついているのは日本産の証拠?
あともう一つ、カニビルが付くのは日本産のカニである証拠、なんてこともよく言われるようですが、
カニビルは日本近海以外の場所にも生息しており、ロシア産など日本産以外のカニにも卵が付いていることはよくあります。
いわゆる迷信であり、卵の有無が日本産か外国産かを見分ける目安にはなりえませんので、あまりあてにしないでおきましょう。
カニビルの卵がついたカニ どうやって食べる?
カニの甲羅についた黒い粒々が問題ないということはよくわかりましたが、
食べるときにどう扱えばよいのかがわからないという方は少なくないと思います。
以下をご覧下さい。
カニビルの卵はすでに死滅していることがほとんど
カニの甲羅に付着しているカニビルの卵は、漁獲後に茹でられたり、もしくは冷凍されるなどの過程で死滅しています。
また漁獲された時点で、すでに中身が空っぽの卵も少なくはありません。
冷凍ガニやゆでガニであれば、ご家庭でカニビルの赤ちゃんが孵化…なんて恐ろしいことにはまずなりません。
とはいえ、カニの状態によっては生きたままの卵がそのまま付着していることも稀にあるようで、
実際に幼虫が孵化した例もなくはないよう。特に、生のカニだとそういうこともあるようです。
人によってはトラウマになってしまう可能性もあるため、
生きたカニビルに出会いたくない場合は茹でる、冷凍する等の加工が施されたカニを買いましょう。
通販で買えるカニはほとんどが冷凍加工されているため、安心です。
調理する前に卵をとった方が良い?
カニビルの卵って、見た目にちょっと気持ち悪いです。
たとえ中身が死んでいるとはいっても、そのまま調理してもよいのかどうか迷ってしまいますよね。
結論からいうと、卵がついたまま調理をしても問題ありません。
ほとんどの卵はがっちりと甲羅にくっついているため、茹でている途中でポロポロと取れるようなことはあまりなく、
鍋に入れて煮込んでも害はありませんし、人間にとって毒性はないため、食べてしまったからといってお腹を壊すようなこともありません。
ただ先にも述べた通り、卵が付いたままだと見た目にちょっと気持ち悪いですし、
害がないとはいっても、うっかり食べてしまったとしたら私自身は大ショックを受けてしまいます…。
食べることなんてないだろうと思われるかもしれませんが、
例えば卵に残っていたカニビルの幼虫が、鍋で煮込んでいるうちに流れ出てしまう可能性も絶対にないとはいえませんよね。
幼虫はとても小さいので、流れ出て料理に混ざったとしてもわかりません。
その上で、鍋の締めに雑炊なんてことになったら…考えるだけで恐ろしいです。
食事を美味しく食べるためにも、卵が少しでも気持ち悪いと感じる場合は、取りのぞいた上でカニを調理に利用したほうがよいでしょう。
カニビルの卵のとり方
カニビルの卵は、思ったよりもしっかりと甲羅にへばりついているため、
たわしでゴシゴシとこすり落とす必要があります。
すでに幼虫が孵化したあとの卵ならまだとりやすいですが、中身が残っている場合、ちょっと思い切りよくこする必要があるかもしれません。
その作業が嫌なら、買う時にカニビルの卵なしのものを選びたいところです。
ネット通販だと、確認して買うことが出来ないのがネックです。(カット加工されたものは、卵がないことの方が多いですが)
ちなみに、卵をこすり落としてから販売するとなると、
業者が扱うカニは家庭とは数が比較にならないため、ちょっとした大仕事になります。
そういったところから、「卵を落とすのは大変 → 卵付きのカニの方が美味しい(落とす作業が不要になる)」
という話が広められたのではという説もあるんですよね。
なのでわざわざ卵付きのカニを買い求める人もいるみたいですが、たとえ卵の付着したカニの方が美味しいという話が本当であっても、
私自身は卵は取り除いておいてほしい派です。
気持ち悪いですからね。
終わりに
以上、カニに付着している黒い粒々の正体についてお話ししました。
ネット通販はともかく、市場などで直接カニを買う場合は、売り手の「卵(黒い粒々)付きは美味しい」という声は聞いてるふりをしながらも聞き流しましょう。
できるのならカニを実際に手に持ってみて、サイズの割に重さがあるかどうかを確認するのが、身入りの良さを調べるのには一番確実な方法です。
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