猫の毛並みや毛づやには、普段食べているキャットフードの内容が大きく関わっています。
人間だって、必要な栄養が十分に摂れていなければ肌荒れを起こしたり、髪がパサパサになったりしますよね。
それと同じように、猫も摂取する栄養によって皮膚や被毛の状態は変わります。
猫の毛がパサパサで艶がない場合は、キャットフードを変えてみてください。
栄養バランスがよく、毛並みや毛づやをよくする成分を配合したフードを選ぶことで、猫の毛並みや毛づやを改善することができるかもしれません。
今回は、猫の毛並みや毛づやを良くするためのキャットフード選びについて解説します。
猫の毛並みや毛づやが悪くなる原因
キャットフードについて考える前に、猫の毛並みや毛づやが悪くなる原因について考えてみましょう。
栄養不足で被毛にまで栄養が行き渡っていない
猫が普段食べているものは、毛並みや毛づやに大きく影響します。
野良や病気を持った猫で、毛並みや毛づやがいい子はほとんどいませんよね。
まだ若いころは毛並みがよくみえても、歳をとるごとに毛づやがなくなってパサパサになりやすくなります。
野良猫はいつ獲物にありつけるかわかりませんから、栄養状態が安定しにくいですし、
また病気の猫は消化吸収力が落ちているために栄養の吸収が悪くなっています。
そうやって必要な栄養素が不足することで、被毛の健康に必要な栄養が行き渡らなくなります。
生きていくために必要な栄養はまかなえているかもしれませんが、
生命の危険に直結しない部分に関しては、栄養の供給が後回しになりやすいんです。
一方で健康な飼い猫に関しては、キャットフードを与えられているために食べるものには困りませんが、
キャットフードと一口にいってもいろいろあります。
猫に必要な栄養が十分にまかなえない、安価で質の悪いキャットフードを長いこと与えていると、毛並みや毛づやが悪くなることがあります。
猫は人間とは毛の生え方やサイクルが大きく異なり、特に被毛の生え変わりに多くのたんぱく質を必要とします。
低たんぱくなキャットフードでは、被毛の成長に必要な栄養がしっかりと摂れないため、その影響がわかりやすく出てしまうのです。
老化によって栄養の吸収が悪くなる
猫は年齢を重ねるほど白髪が増え、次第に被毛がパサつき、毛割れやフケが出てきやすくなります。
これは消化機能の低下によって栄養吸収が悪くなり、体内の水分量や皮脂量が不足することが大きな原因です。
老化によって栄養の吸収が悪くなり、体の各所にいきわたりにくくなるのは人間も同じですよね。
人間もある程度の年齢になると白髪が増えたり、ちょっとしたことで髪がパサつきやすくなったりしますが、
特に猫は低栄養の影響が被毛の状態に出やすいんです。
栄養吸収が悪くなるだけではなく、食欲が落ちて食べる量が減ってしまうとさらに栄養不足を招いてしまうため、
消化が良く、少量でもしっかりと栄養が補える食事にシフトしていく必要があります。
病気が原因で毛づやがなくなることも
今までなんともなかったのに、高齢ではない猫の毛並みや毛づやが急に悪くなった場合、何らかの病気であることが疑われます。
主に考えられるのは腎臓疾患です。
あと寄生虫などに寄生されたために、栄養が吸収されず毛づやが悪くなるといったパターンもあります。
毛づやがなくなるだけではなく、抜け毛がひどくなったり体重が急激に減る、
食欲がなくなるといった症状がみられたら、すぐに病院へ相談しましょう。
被毛のケアが不足している
ブラッシングや毛づくろいが不足しても、毛並みや毛づやが悪くなることはあります。
猫はマメに毛づくろいをする動物で、基本的には栄養が充実していて毛づくろいがきちんと行われていれば、
それだけで毛並みや毛づやを綺麗に保つことができます。
しかし、猫の体調が悪かったり、口内炎で口の中に痛みがあったりすると、一時的に毛づくろいをしなくなることも。
そうなると毛にまとわりついたゴミや埃がとれませんし、皮膚への刺激が減るために血行が悪くなり、
栄養が行き渡りにくくなることで毛並みや毛づやが悪くなります。
また、人間が行うブラッシングも重要です。
ブラッシングも毛づくろいと同様に皮膚への刺激となるため、血行を良くする効果が期待できるんです。
特に春と秋の換毛期や、長毛種の場合はこまめにブラッシングを行うようにしましょう。
キャットフードのどんな成分が毛並みや毛づやに影響するの?
キャットフードの中には、特定の栄養素を配合することで、
毛並みや毛づやをよくする効果を狙った製品が多くあります。
被毛に良いといわれるのは、例えばこのような成分です。
・たんぱく質
・ビタミンA
・アラキドン酸
・オメガ3脂肪酸
・オメガ6脂肪酸
以下、詳しく解説します。
たんぱく質
十分な量のたんぱく質は、猫が健康に生きていくのにかかせない栄養です。
猫に必要なたんぱく質は、体重に換算すると人間の5~6倍必要だともいわれていますが、実はそのうちの3割は被毛の代謝に使われているんです。
猫の被毛って頻繁に生え変わりますよね?その材料として大量のたんぱく質が必要となりますが、
たんぱく質が不足すると健康な皮膚や被毛が作られにくくなり、結果、毛並みや毛づやに影響してしまいます。
他の栄養素を摂ることも大切ですが、良質なたんぱく質が十分に摂れている上での話です。
ビタミンA
ビタミンAは皮膚の新陳代謝を助け、皮脂分泌のバランスを整える働きがあります。
また、猫が生きていく上でもっとも重要なタンパク質の吸収をサポートする働きもあります。
人間や他の動物は、緑黄色野菜などに含まれるβカロチンをビタミンAに変換することが可能ですが、
猫にはその機能がないため、動物性食材からビタミンAの形で直接摂取する必要があります。
ビタミンAが欠乏すると毛づやが悪くなるだけではなく、食欲が落ちたり目に異常が出やすくなるなど様々な所に影響がでてきます。
もちろんビタミンAだけではなく、ビタミンB群など他のビタミンも健康な皮膚や毛には必要ですが、
特にビタミンAは、毛並みや毛づやの良さに大きく影響を与えるビタミンだといってよいでしょう。
アラキドン酸
アラキドン酸とは必須脂肪酸(体内で作れないために、外部から摂取する必要のある脂肪酸)の一種で、皮膚の健康や肝機能に関わる成分です。
通常、動物はリノール酸からγ-リノレン酸を、さらにγ-リノレン酸からアラキドン酸を作りだすことができますが、
猫はγ-リノレン酸からアラキドン酸を作りだすことができないため、食べものからアラキドン酸を摂取しなくてはなりません。
アラキドン酸は主に、動物の脂肪に含まれています。
アラキドン酸が不足すると被毛が乾燥してフケが出やすくなるなど、毛並みや毛づやに大きく影響を与える栄養素といえるでしょう。
オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸
オメガ3脂肪酸、およびオメガ6脂肪酸はいずれも猫にとって食事から摂取しなくてはならない必須脂肪酸であり、
キャットフードにも良く配合されているのを見かけます。
オメガ3脂肪酸にはDHAやEPA、αリノレン酸などがあり、青魚や海藻類をはじめ、シソ油やエゴマ油などに多く含まれています。
主には、炎症を抑える効果があるといわれています。
またオメガ6脂肪酸にはリノール酸やγリノレン酸などがあり、コーン油やひまわり油など植物性の油に多く含まれています。
主には免疫機能を向上させることで感染への抵抗力を高める効果があるとされており、皮膚の健康や美しい被毛には欠かせません。
ただ、オメガ6脂肪酸には炎症を誘発する作用があるため、摂りすぎると逆にアレルギーを悪化させるなどの悪影響が出やすくなります。
美しい被毛を保つためには、オメガ6脂肪酸と同時に、炎症抑制効果を持つオメガ3脂肪酸をバランスよく摂ることが大切なんです。
一般的には、オメガ6脂肪酸は比較的摂りやすいために不足することはあまりありませんが、
オメガ3脂肪酸は量を摂りにくく不足しがちであるため、オメガ3脂肪酸を積極的に摂るようにするとバランスがよくなります。
猫の毛並みや毛づやをよくするキャットフード選びについて
被毛のためになる栄養について色々書きましたが、
多くの猫は総合栄養食のキャットフードを常食しているため、飼い主自身が栄養を細かく調整することは現実的ではありません。
猫の毛並みや毛づやをよくしたいと考えるのなら、普段食べさせているキャットフードの栄養バランスが重要になってきます。
以下のポイントに気をつけて選んでみましょう。
猫の食性にあった栄養バランスを持つキャットフードを選ぶ
先ほども述べたように、猫の毛並みや毛づやを改善するためには、栄養バランスが重要です。
肉食動物の猫にとって必須である、動物性たんぱく質がとれる肉や魚をメインに、
ビタミン・ミネラル・脂質をバランスよく含んだフードを選びましょう。
猫が消化しにくい穀類は摂りすぎないよう注意が必要です。
難しいと感じるかもしれませんが、高品質キャットフードは高たんぱくで穀物が少なく、
さらにはオメガ3やオメガ6脂肪酸といった栄養素を追加しているものも多くみられますので、そういった中から猫に合うものを探すと良いでしょう。
添加物が少ないフードを選ぶ
キャットフードに含まれる添加物も、毛並みや毛づやを悪くする原因になります。
摂取した添加物は体内で毒素となり、解毒のために肝臓や腎臓に負担をかけますし、皮膚トラブルの原因にもなります。
着色料や香料といった添加物は猫に必要なものではなく、キャットフードの見た目や食いつきをよくする目的で添加されるものであるため、
猫にとっては何のメリットもありません。
参考:猫のキャットフード おかしな添加物が使われていませんか?
完全無添加のキャットフードは価格が高くなりがちであるため、
多頭飼いなどだと食費に響いてしまうのが難点ですが、できる範囲で無駄な添加物が少なく安全なものを選ぶようにしましょう。
オメガ3・6脂肪酸などの成分が追加されているもの
キャットフードの中には、ビタミンAやオメガ3・6脂肪酸といった、毛並みや毛づやをよくする成分を配合しているものが存在します。
オメガ3や6などと書いていなくても、それらの成分を多く含むオイル…
例えばフィッシュオイルやフラックスシードオイルなどが配合されたフードは、毛並みや毛づやにも良い影響があると考えられます。
オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸は、単体で犬猫用サプリメントとしても販売されていますので、
そういったものを利用するのも良いでしょう。
ただし、特定の成分だけが多すぎたり少なすぎたりするのはよくありませんので、
サプリメントを利用する場合はキャットフードの栄養成分とのバランスに気を付けて下さい。
参考:猫にサプリメントは必要?与えるならどんな時にどんな種類を選べばよい?
毛並みや毛づやは猫の健康のバロメーターだと考えよう
何となく最近愛猫の調子が悪いなと思ったときに、毛並みや毛づやが悪くなっていることに気づく人も多いのではないでしょうか?
毛並みや毛づやは食べているものや体調と密接に関わっており、美しい状態を保つことは猫の健康を保つことにもつながります。
うちの猫、健康なはずなのに毛づやがないな…と感じたら、まずはキャットフードを見直してみてください。