人間の食事中にテーブルに上がろうとしたり、台所に置いている残りものを狙ったりと、人間の食べ物に興味を持つ猫は多いもの。
しかしいくら猫が欲しがるからといっても、人間の食べ物を与えると危険な場合もたくさんありますし、
猫の健康面にも絶対に良くありません。
とはいえ、人の食べものの味を覚えてしまった猫の執着は相当なもので、
食べさせないようにするには工夫が必要です。
今回の記事では、猫が人間の食べ物を欲しがるのはなぜなのか、また人間の食べものを猫に与える危険性や、
食べさせない工夫について解説します。
猫はなぜ、人間の食べ物を欲しがるの?
猫に必要な栄養は、総合栄養食に分類されるキャットフードを与えていれば十分まかなうことができます。
栄養がしっかり摂れていれば、むやみに食事を欲しがったりしないはず…なのですが、
猫のなかにはフードを食べたばかりなのに人間の食べものを欲しがる子もいるんですよね。
与えないと本当にしつこくつきまとわれて、日々の食事がままならないなんてご家庭もあるのではないでしょうか?
しかしなぜ、猫は人間の食べ物を欲しがるのでしょうか?
人間の食べ物の味を覚えてしまったから
過去に、猫に一度でも人間の食べものを与えたことはありませんか?
猫は一度でも人間の食べものを口にするとその味を覚えてしまい、その後もしつこく欲しがるようになってしまうんです。
普通に考えて、猫が食べるキャットフードなどよりも人の食事の方が味も濃くにおいも強いため、猫にとっては刺激的に感じられるのでしょう。
一度おいしいということを知ってしまうと、次からも欲しがるようになります。
以前そうだったように、根気よく粘ればもらえる…と思っているためしつこく付きまとうんです。
飼い主が猫に直接与えなくても、テーブルの上に置きっぱなしにしてある食べものを盗み食いされたり、
料理中にうっかり落とした料理を食べられてしまったりと、人間の食べものの味を覚える機会は沢山あります。
まさか食べないだろう…という油断は禁物です。
本能で食べもののにおいに反応してしまう
猫は本来、外で狩りをする肉食動物です。
どうやって獲物や食べものを探すのかといえば、目視や音をはじめ、「におい」によっても獲物をかぎわけます。
なので飼い猫であっても、魚の焼けるにおいや生肉を出したときのにおいに本能的に反応することがあるんです。
人間が嗅ぎ分けられないようなにおいでも嗅ぎ分けられるため、遠くにいても食べもののにおいがすると飛んでくるんですよね。
すごいなあ、と感心したことがある人も少なくないはず。
この場合は人間の食べものを欲しがっているというよりは、
単純に自分が食べられるものに対して反応しているのだといえるでしょう。
もちろん、肉や魚であっても人間用に作った料理は与えてはいけません。
好奇心から欲しそうにしている
人間がひとつのテーブルに集まって楽しそうに食事をしていると、「なにか楽しいことをやっている」と猫も興味が湧きます。
そしてテーブルの上に登ってみたり、好奇心からテーブルの上のものに手を出す、ということもあるのですよね。
人間から見ると、食べ物を欲しがっているように見えてしまうのですが、
実際に欲しがっていることもあれば、実はなんとなく手を出してみただけなんてこともあったりするのです。
ここで、猫が欲しそうにしているから…とか、ほんの少しだけだったら良いかな…なんていう具合に、
猫に人間の食べものを与えてしまうパターンは少なくありません。
人間の食べものを口にして味を覚えてしまうと、
それ以降猫にとってその食べものは「食べられるもの」「食べてもよいもの」になってしまい、
その食べものを見るたびに狙うようになります。
ちょっとだけ…もNG!人間の食べ物を与えてはいけない理由
たとえ猫が欲しがったとしても、人間の食べ物は基本的に猫に与えるべきではありません。
欲しがっているのにあげないのは可哀想などと考える人もいるかもしれませんが、猫に人間の食べものを与えることは、
デメリットこそあれメリットは1つもありません。
以下、人間の食べものを与えてはいけない理由についてみてみましょう。
猫と人とでは体に必要な栄養の割合が全く違う
猫は肉食だといわれる通り、そもそも人間と猫では体のつくりが異なっており、必要とする栄養も違います。
たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン・ミネラルなど必要とする栄養素は似通ってはいるものの、
必要とする割合が大きく異なるのですよね。
例えば、猫は肉や魚からとれるたんぱく質を人間の6倍必要としています。
一方で人間の食事は炭水化物を中心に、おかずとして肉・魚や野菜を添えたものがほとんど。
猫とは食性が大きく異なるんです。
食性が異なるということは、消化器官の構造や働きも異なるということ。
人間は雑食性の動物であるため、様々な食べものをうまく消化吸収できるようになっていますが、
猫は肉食であるため、肉や魚などのたんぱく質食材の消化吸収は得意ですが、
穀類や繊維の多い野菜類の消化吸収は得意ではありません。
体に合わないものを食べさせることで、下痢や便秘を引き起こす可能性もありますし、
それが度々となると、アレルギーを起こすきっかけにもなりかねません。
人間の食べものは塩分や糖分が多すぎる
生魚や生肉はともかく、調理された人間の食事は味が濃く、猫の体には向きません。
もともと猫は塩分や糖分を調味料で摂る必要がありませんし、
人間にとっては少量という感覚でも、体の小さな猫には塩分や糖分は大きな負担になってしまうのです。
猫は水をあまり飲まないため、ただでさえ腎臓に負担をかけがちです。
そこに必要のない塩分を摂ると、ますます腎臓に負担を与えてしまう原因に。
特に腎臓を悪くしている猫には、塩辛い人間の食べものはNGフードだといえるでしょう。
また腎臓に問題のない健康な猫でも、濃い味を覚えさせてしまうことで、
キャットフードをちゃんと食べなくなるかもしれないという弊害があります。
与えてはいけない食べものを与えてしまう可能性もある
猫を飼っていらっしゃる方ならご存知かと思いますが、猫には食べてはいけないものがあります。
例えばネギやニンニクといったネギ属の野菜や、アボカドやブドウほか、猫が食べてはいけないもの、
また食べすぎると害があるものって沢山あるんですよね。
ものによっては食べることで命を落とす恐れもあります。
参考:猫に与えてはいけない食材について
そういった知識をしっかりと持っているのならばまだ危険はありませんが、
猫のNGフードについてあまり詳しくない場合、猫に与えてはいけないものを与えてしまう可能性が高くなります。
特にネギ属の野菜は人間の食事に利用されることが多いですし、
加工品に使われるオニオンエキスなども猫にはNGなんですよね。
猫に人間の食べものを与えるということは、危険な事だと頭に入れておきましょう。
人間の食事を食べさせないための工夫
人間の食事の味を覚えてしまうと、猫はその後ずっと欲しがり続けることになります。
欲しがるから与えないのはかわいそう…なんて考えて与える人が多いのだと思いますが、
人間の食事の味を覚えさせてしまった方が、かえって後々かわいそうなことになるんですよね。
そうならないためにも、人間の食べものを口にさせないための工夫が大切です。
一番肝心なのは子猫のうちにしつけること
猫の味覚は生後3ヶ月までに決まると言われ、この時期に人間の食べ物の味を覚えてしまうと、
その後しつこく欲しがるようになります。
これはもう例外はないと思います。
人間も、子供のころに覚えた味って忘れませんよね?
それと同じなんです。
しかし逆に考えると、この時期にしっかりとしつけることで、
人間の食事にまったく興味を示さない猫に育てることも可能です。
しつけとはいっても、別に難しいことは何もありません。
猫が食べるフード以外のものを食べさせないこと、また人間の食べものを欲しがっても与えないこと、
またうっかり口にしてしまうことがないよう、食べものの管理をきちんと行うことです。
少量なら、一度だけなら…という油断は禁物
ちょっとだけなら大丈夫だろう…と、
一度でも人間の食べ物を猫に与えてしまったら、その後数ヶ月から数年レベルで欲しがり続けると思ったほうがいいでしょう。
数年レベルというと、もう猫にとっては一生に近いです。
猫は非常に忍耐強く、獲物を何時間でも待ち続ける動物なんですよね。
特に、一度おいしいと思った味のことは忘れず、飼い主があきれる位にしつこく狙い続けます。
食べることは猫の本能であり、その後食べさせないで我慢させるのはお互いにつらいもの。心を鬼にして、人間の食べ物を食べさせないという態度を貫きましょう。
食べ物を出しっぱなしにしない
基本的なことですが、お菓子の袋や残りものなどを出しっぱなしにしないようにしましょう。
私自身も、夜中に猫に残飯をあさられたり、菓子パンの袋を袋ごとかじられてボロボロにされたりとさんざんな思いをしたことがあります。
中には戸棚を開けて食べるという執念を見せるなど、驚くくらい食べものへの執着が強い子もいるんです。
口にしたのが食べものだったらまだよいのですが、食べ物と一緒に包装紙を食べてしまったり、
食べていけないものを口にしてしまい一大事になる可能性だって十分ありえます。
うちの猫にはこれまで一度も人間の食べものは与えていないし、欲しがりもしないからから大丈夫…なんて思う人もいるかもしれませんが、
お腹が空いていて何か食べたいからではなく、好奇心で食べものに近づいたり口に入れようとする猫もいますので油断は禁物。
猫の目にみえるところに食べものを置かないことはもちろん、特ににおいの強い食べ物は厳重に保管するようにしてください。
例えば猫が絶対に開けることのできない冷蔵庫の中や、戸棚の中にしまうのが安全です。
扉を開けてしまう猫がいる場合は、チャイルドロックを使用しても良いでしょう。
人間の食べものを食べてしまったらその場で叱るようにする
飼い主が与えようと思っていなくても、うっかり猫が人間の食べ物を食べてしまうことはあります。
その際、大きな声で怒鳴ったり叩いたりするのは絶対にやめましょう。
驚かせたり怖がらせる行為はしつけになるどころか、怯えて人間を嫌いになってしまうことがあります。
猫って性格的に難しいところがあり、一度すねたり怒らせたり、嫌いだと思わせてしまうとその後打ち解けるのには時間がかかります。
とはいえ、怒ったり注意をしないのも問題です。
猫に怒る時のポイントは、いたずらをした・しようとしたその場で「だめ!」「こらっ!」など短く怒ること。
怒ったり怒らなかったりと態度を変えるのはよくありません。
また、ダメな事をしたその瞬間に怒らなければ、猫は何に対して怒られているのかがわかりません。
意味がないところか混乱させてしまうため、怒るタイミングを逃さないようにしましょう。
同じ場面で何度も怒る…を根気よく繰り返すことで、猫も学習していくはずです。
人間の食事前に猫にエサを与えるようにする
お腹が空いているときに目の前に食べものらしきものがあったり、食べものの良い香りが漂ってきたとしたら、猫じゃなくても食欲をそそられますよね。
なので人間の食事前には、まず猫の食事を済ませておくのがおすすめ。
人間の食べものに興味のない猫なら、お腹が空いていない時に人間の食べものをむやみに欲しがることはないはずです。
まあ人間の食べものの味を知っている猫や、食い意地が張っている猫の場合は例外かもしれませんが、
それでも空腹時に食事を欲しがるのとはまた違うはずです。
猫が可愛いのなら、人間の食べものは与えないようにしよう
猫がおねだりする姿が可愛らしく、ついつい人間の食べものを与えてしまったという人もいれば、
知らないうちに棚や台所を荒らされていた、という人もいるでしょう。
味やにおいが刺激的な人間の食事は、猫にとって魅力的にうつります。
一度口にしてしまったら、また欲しくなってしまうのは当然のことといえます。
しかし猫の健康のことを考えるのなら、人間の食べものは与えないのが一番。
欲しがっているのに与えないのはかわいそうに思えるかもしれませんが、一度味を覚えさせてしまうと、
その後苦労するのは飼い主です。
決して与えないという覚悟を持って対処していきましょう。