犬と違って、猫におやつは不要だと考える人がいます。
確かに、必ずしも必要なものではなく与えなくても問題はないのですが、ポイントを守って与えれば決して害になるものではなく、メリットもたくさんあります。
猫との上手な関係を築くサポートとして、おやつを活用してみましょう。
猫におやつを与える意味とは?
先に述べたことの繰り返しとなりますが、
猫におやつは必ずしも必要なものではありません。
与え方を間違えれば肥満の原因にもなるかもしれないものを、わざわざ与える意味ってあるんだろうかと
疑問に感じる人もいることでしょう。
しかし、上手く活用すれば得られるメリットはたくさんあるんです。
以下、詳しく見ていきましょう。
気分転換・ストレス解消になる
「食べること」は、人間と同じように猫にとっても楽しみのひとつ。
毎回食事を楽しみにしているといっても過言ではありません。
ただ、猫の中にはいつも同じフードばかり与えていると、飽きてしまって食べなくなったり、
食欲が落ちる子もいます。
そんな場合に、いつものフードとは異なる味や食感のおやつを少量与えてみてください。
与えるおやつや猫の好みにもよりますが、たいていの猫は喜んで食べるはずです。
気分転換になるだけではなく、ストレスの解消にもつながります。
コミュニケーションをとりやすくなる
猫におやつを与える時間は、猫と飼い主とのコミュニケーションを深める大切な時間です。
例えば、猫が家にやって来た記念日や誕生日には、特別なご飯をあげるという人は多いのではないでしょうか?
普段は買わないちょっと高めのフードを買ってみたり、
手作りのおやつで誕生日をお祝いするなんて方もいますよね。
たかがおやつではありますが、上手く利用することで飼い主と猫の距離を縮めるきっかけにもなります。
旅行などで留守番させてしまったときや病院のあとなど、
我慢をしたあとのご褒美としておやつを与えるのもおすすめです。
栄養補助としての役割
普段猫に与えるフードは「総合栄養食」が基本。
それだけで必要な栄養がまかなえるようになっているため、本来ならばそれ以外の食べ物は必要ありません。
しかし中には、フードだけだと便秘しやすい子や、病気や加齢などで食欲が落ち、
通常のフードだけでは栄養的に十分ではない場合があります。
そんな時に使えるのが、おやつ。
例えば、毛玉が詰まりやすい子には食物繊維や水分摂取がしやすいおやつを与えてみたり、
便秘しやすい子には野菜をおやつに与えるなど、それぞれの症状に応じたケアが行えるというメリットがあるんです。
食欲が落ちた猫でも、おやつならなんとか食べてくれる場合も少なくはないなど、
栄養補助的な役割を持つツールとしても活用できます。
猫に与えるおやつにはどんなものがある?
私たち人間が食べるようなおやつと、猫が食べるおやつは当然ながら内容が大きく異なります。
猫におやつを与えるとはいっても、私たちが普段食べているような甘いお菓子やスナック菓子を与えるのはNG。
どちらかというと、おやつというよりは普段食べさせているフードの延長上にあるような食べものを与えます。
与えるおやつは猫の好きな食材を使って手作りするか、以下にあげたような市販のフードを利用しましょう。
ドライタイプのおやつ
ジャーキーや鶏ささみ、かにかまなど、乾燥させた状態で売られているタイプのおやつは沢山販売されています。
この手のおやつは添加物が結構使われていることがあるため、選ぶ際は注意が必要ですが、
市販のおやつなら手軽に与えられますよね。
小袋入りやチャックつきのものを使うと便利ですよ。
ウェットタイプのおやつ
缶詰やパウチ、スープ状など水分を含んだタイプのおやつです。
おやつというよりは食事に近いものになりますが、
特に水をあまり飲まない猫には、こういったおやつで水分を補うといいでしょう。
おやつの状態によっては、猫が嫌がる薬を飲ませるときのカモフラージュに利用するのにも便利です。
ただし、水分が多いフードは保存料などの添加物が多い場合があるため、なるべくシンプルな材料のものを選んでください。
マタタビ
マタタビという言葉、猫を飼われていない方でも一度くらいは耳にした事があるのではないでしょうか?
マタタビとは、マタタビ科マタタビ属にあたるツル性の植物で、花が咲いたあとにできる実を加工したものが「マタタビ」として売られています。
「猫にマタタビ」という言葉があるように、マタタビには猫を興奮させる作用があります。
主にはマタタビに含まれる、「β-フェニルエチルアルコール」や「マタタビラクトン」「アクチニジン」に反応することで起こる作用で、
猫にマタタビを使うと一時的にではありますが、まるで酔っ払ったようになるのですよね。
しかも、そのような反応を示すのは猫科の動物だけなのだとか。
マタタビを与えることは、猫のストレス解消に効果的です。
木の枝をなめさせたり、粉末をフードに振りかけたりして食欲増進の目的にも使えます。
ただし、マタタビの成分には猫の中枢神経を麻痺させる作用があるため、大量に食べさせるのはNG。
たまのご褒美に小量与える程度なら問題ありませんし、常習性もありません。
なお、マタタビへの反応は猫によって大きく異なります。
少量にも反応しやすい猫もいれば、マタタビ自体に興味を示さない猫もいますので、必ずしもすべての猫に使えるとは限りません。
自宅にある煮干しやかつおぶし
煮干しはカルシウム補給になりますし、特にかつおぶしは猫が好んで食べるもののひとつです。
かつおぶしの袋を開けただけで、走ってきて騒ぐ猫もいますよね。
人間の食事にかつおぶしを使うと、食事をしている間中猫が落ち着かないので、うかつに使えないくらい…。
与えすぎは塩分やミネラル過多の心配がありますが、たまに一切れ・ひとつまみ程度を与えるくらいなら問題ありません。
塩分やミネラルが気になる場合は、猫用として売られているかつおぶしを利用しましょう。
手作りもOK
猫のおやつは、市販のものに限らず手作りでもOKです。
例えば、ジャーキーはささみなどを使って簡単に手作りできますし、
猫クッキーも一見難しそうに思えるものの、どの家庭にもありそうな材料をまぜて焼くだけ…とかなり簡単です。
個人的に手軽でおすすめだと思うのは、鶏のささみや胸肉をシンプルに茹でたもの。
このとき、塩などは入れないようにしましょう。
猫は本来肉食ですし、良質なたんぱく質がとれます。
茹で汁も、冷ましてからほぐした鶏肉と混ぜることでスープとして活用できます。
鶏肉を薄く開いて10分ほどオーブンで焼けば、ジャーキーも簡単に作れます。
市販品のように添加物の心配などもなく手軽ですが、手作りのおやつは日持ちしないため、
あまったものは冷蔵庫で保存し、できるだけはやく消費してしまいましょう。
猫におやつを与える場合の注意点
ここまで、おやつの良い面ばかりに触れてきましたが、与え方によっては猫にとってデメリットとなることも。
実際に、猫におやつを与える際の注意点について見ていきましょう。
食事の妨げにならない量にとどめる
猫が欲しがるからといっておやつを与えすぎると、キャットフードを食べなくなってしまうことがあります。
与えすぎなければいいんでしょ?なんて思うかもしれませんが、
猫の喜ぶ姿が可愛いからおやつを与える…なんて方にしてみると、それが結構難しかったりするんです。
普段のフードとは違い、猫にとっておやつはご褒美的な食べものであること、
また嗜好性重視のおやつも少なくありませんから、食べたあともなんどもおねだりを続けたり、
お腹がすいたら頻繁におやつを欲しがる猫もいます。
一度「このくらいの量」と決めたら、それ以外では猫が欲しがっても与えないようにしましょう。
あと、キャットフードの袋には体重に応じた1日のカロリー摂取量の目安が記載されていますので、おやつを与えた分はキャットフードを減らすなどの工夫をして調節しましょう。
与えるタイミングに注意
おやつは食事と食事の間に与えるのがおすすめ。
少量ずつ数回に分けて与えても大丈夫です。
ただし与える回数を増やしても全体量は増やさないようにすること、
あと欲しがるたびに与えないように注意します。
欲しがるたびに与えていると癖がついてしまい、
与えなかった時に駄々をこねたり、いたずらしてしまう猫もいるんです。
数回に分けても構いませんが、できれば飼い主が決めたスケジュールで与え続けるようにしましょう。
あと、あくまでおやつはおやつであり、メインの食事にならないようにしてください。
食事で利用する総合栄養食と呼ばれるキャットフードは、決められた量を食べることで、
必要な栄養が全て摂れるようにつくられていますが、食事の量が少なくなるとそれだけ栄養が偏りやすくなります。
今日はおやつの量が多かったから、食事で調整…はNGです。
病気で療法食を与えている場合は注意が必要
何らかの病気にかかっていて、療法食を与えているような猫には基本的におやつはNGです。
たとえば腎臓病の猫の場合、たんぱく質やリンの摂取を制限しなくてはなりませんが、
療法食を決められた量だけ与えるようにしていれば、
それらの栄養素を制限しながらもベストな栄養バランスを保つことができます。
しかし、間食としておやつを与えてしまうと、
せっかく療法食を与えていても、たんぱく質やリンを摂りすぎてしまう可能性があるんです。
ただ、絶対にダメかというとそんなことはなく、少量の野菜やイモ類であれば問題ないとは思います。
とはいえ、何を食べて良いのかは猫の体の状態にもよるため、
おやつを与えたい場合は獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
猫にも至福のおやつタイムを!
おいしいものを食べれば、人間だって猫だって嬉しくて幸せな気分になるのは同じです。
おやつをおねだりする姿や、喜んでおやつを食べる愛猫の姿を目にするのは、飼い主さん自身も嬉しいですよね。
おやつは、タイミングと量を守ることで猫とのコミュニケーションに役立ちます。ぜひ上手に活用してみてくださいね。