年齢を重ねるごとに、肌が乾燥しやすくなる…なんて方は少なくありません
若いころはライトなスキンケアでも大丈夫だったのに、
30~40代を過ぎるあたりから乾燥しやすくなり、年齢肌向けの化粧品へ変えたなんてよくある話です。
通常、年をとればとるほど皮脂の分泌量は低下しますから、
皮脂量の減少にともなってカサつきやすくなるのは当然のような気がします。
ただ、加齢で肌が乾燥するのは皮脂量が低下したからというよりは、
肌の角質層に水分を保つ成分であるセラミドが減った影響によるものが大きいんですよね。
年をとると、何をしていなくてもセラミドは減ってしまうんです。
なんでも20代の肌と比較すると、40代の肌のセラミド量は平均で半分以下にも落ち込んでしまうのだとか。
セラミドが角質層内の水分の大半を保持していますから、セラミドが減ることで乾燥しやすくなるというのは当たり前だといえます。
仕方がないことなのかもしれませんが、肌の水分量低下は肌のハリ不足やしわにもつながりますから、放ってはおけません。
今回は、年齢を重ねることでおこる乾燥肌の対処法についてお話ししたいと思います。
なぜ、年をとるとセラミドが減少するのか
セラミドは、ターンオーバーによって肌が生まれ変わる時に生成されます。
なので、一時的に角質層内からセラミドが減ってしまったとしてもまた補われるのですが、
それでも年をとるとセラミドの量が大幅に減少してしまうんですよね。
一体なぜなのでしょうか?
肌のターンオーバーのサイクルが長くなり、セラミドの生成量が低下する
人間の肌は、肌の表面にある表皮の新陳代謝によって、
一定周期ごとに肌の細胞が新しいものに入れ変わるようにできています。
いわゆる、肌のターンオーバーと呼ばれる現象です。
このターンオーバーによって表皮の細胞が作り出されるときに、
角質層内で水分を保つためのセラミドや天然皮質因子(NMF)が作り出される仕組みになっています。
セラミドが一時的に肌から減ってしまっても、一定周期ごとに補われるんです。
しかし、年をとると肌のターンオーバーのサイクルは目に見えて長くなっていきます。
個人差はありますが、20代で約28日のサイクルだったものが、40代では50日~、
50代では70日…といった具合に、年齢を重ねるごとにターンオーバーのサイクルは長くなります。
若い頃よりも傷跡やシミが残りやすくなるのは、肌の生まれ変わりに時間がかかるようになってしまうからなんですね。
さきほど、ターンオーバーのサイクルにあわせてセラミドも生成されると説明しましたが、
ターンオーバーのサイクルが長くなると、セラミドが生成される機会も少なくなります。
セラミドが生成される機会が少なくなれば、当然ながら角質層内のセラミド量は減少し、
水分が逃げやすくなってしまいます
肌のセラミドを分解する酵素が増える
加齢によって肌のセラミドが減りやすくなるのは、ターンオーバーのサイクルが長くなることだけが原因ではありません。
人の角質層内には、セラミターゼと呼ばれるセラミド分解酵素が存在します。
この酵素は若い人の肌にも存在するものですが、年齢を重ねるほどその働きは活性化し、
セラミドの分解が進みやすくなってしまうんです。
せっかくセラミドが作られても、分解されてしまうのでは意味がありません。
あと、炎症を起こした肌でもセラミターゼが活性化しやすくなるため、やはりセラミドの分解は進みやすくなります。
年齢肌以外にも、アトピー性皮膚炎や湿疹などで炎症を頻繁に起こしているような肌も、
セラミドが不足して乾燥しやすくなるんです。
セラミド不足によって肌が乾燥すれば、さらに炎症などの肌トラブルが起きやすくなります。
そうすると、さらに分解酵素の働きによってセラミドが分解されやすくなるなど、悪循環に陥りやすくなってしまいます。
洗いすぎでもセラミドは失われる
セラミドは、脂質の一種です。
通常は、角質層内で水分を挟みこむようにして存在していますが、
強い洗浄料などを使って肌を洗いすぎると、セラミドをはじめとする脂質が溶かされて外部へ流れでてしまいます。
洗いすぎでも、セラミドは失われるんです。
例えば毎日落ちにくいメイクをするような場合だと、それなりに強力なメイク落としや洗顔を使う必要がでてきますよね?
そういった洗浄料は、メイク汚れだけではなく肌が持っている脂質も洗い流してしまいます。
皮脂だけが落とされるのならまだ良いのですが、
角質層内の脂質(細胞間脂質)にまで影響するような洗浄料だとセラミドまで溶けて流れ出てしまい、結果として乾燥しやすくなります。
まだ若い世代の方であれば、セラミドが減ってしまってもすぐに補われますが、
ターンオーバーのサイクルが長い年齢肌の場合、減ってしまったセラミドが増えるまでに時間がかかるため、
乾燥肌や敏感肌になりやすくなるんです。
セラミドを守るためには、よりマイルドな洗浄料に変える必要があるといえるでしょう。
セラミドの減少による肌の乾燥を改善するには?
年とともにセラミドが減りやすくなるのは、どうしようもありません。
ただ、生活習慣に気を付けることでセラミドを減りにくくしたり、
スキンケアなどでセラミドを補うことにより、セラミドが不足してしまうのを防ぐことは可能です。
以下をご覧ください。
洗浄料を使って肌を洗う頻度を少なくする
肌のセラミドは、過度な洗顔や入浴によって失われます。
例えば強い洗顔料を日常的に使用したり、肌を過度に摩擦したり、
入浴で熱いお湯に長時間つかる行為もセラミドを減少させます。
特に日頃から肌の乾燥が気になる方は、洗いすぎないように心がけましょう。
というと、なんだか不潔なような気がしてしまう方もおられるかもしれませんが、
洗い落とさなくてはいけないのは汚れであり、体の脂を完全に落としきると肌が刺激を受けやすくなるためよくありません。
洗いすぎないためにも、
なるべく落としづらいメイクをするのは避け、体にも顔にもマイルドな洗浄料を使用するようにしましょう。
あと乾燥しやすい肌質の方が、洗浄料を使った洗顔を朝晩する必要はありません。
夜はメイクを落とさなくてはならないため、メイク落としや洗顔などの洗浄料は必要かもしれませんが、
朝はぬるま湯での洗顔で十分です。
強い洗浄料を避け、過度に肌を洗いすぎる習慣を改めましょう。
セラミド配合の化粧品を利用する
乾燥が気になるのなら、セラミド配合の化粧品を利用するというのも手です。
化粧品に使われている多くの保湿成分は、角質層の表面で保湿効果を発揮することで水分の蒸発を防ぐ働きをします。
表面を保湿するだけで、根本的な肌の乾燥の原因にアプローチできるものではないのですよね。
一方で化粧品に配合されているセラミドは、そのセラミドの種類にもよりますが、
もともと角質層内に存在しているセラミドと同様の働きをすることが期待できます。
セラミドを補うことで、角質層に水分が留まりやすくなるんです。
本格的な乾燥肌に悩んでいるというのなら、セラミド配合の化粧品はおおいに役立つでしょう。
注意点は、効果のないセラミドもあるということ。
セラミドと一口にいっても様々な種類があり、肌に存在するセラミドと同じ働きが期待できるのは、
ヒト型セラミドと呼ばれるセラミドのみ。
それ以外のセラミド…例えば馬セラミドや植物性のセラミドは、肌に存在するセラミドとは似て非なるものであり、
肌の表面で保湿効果を発揮するのみ。
そのようなセラミドであっても保湿効果がないわけではありませんが、根本的な乾燥肌の改善にはあまり役立ちませんし、
使用感も全然違います。
乾燥肌を改善する目的でセラミド化粧品を利用するのなら、配合されているセラミドの種類に注意して選ぶようにしましょう。
参考までに、ヒト型セラミドを配合する製品を以下にあげておきます。
サプリメントでセラミドを摂取する
セラミド配合サプリメントの摂取も、セラミド不足の肌には効果が期待できるかもしれません。
セラミドを経口摂取しても、肌のセラミドにはならないのでは…なんて疑問の声もあるようですが、
実際にはセラミドを摂ることで肌の水分量が増えることがわかっています。
摂取したセラミドがそのまま肌のセラミドになるわけではありませんが、
消化吸収されたセラミドが、肌でのセラミド合成を促進するのだとか。
参考: 植物由来セラミドの皮膚保湿効果と食品機能性(日本製粉)
※参考にできるデータとしては、例えばスライド19枚目に「セラミドの経口摂取による皮膚保湿効果」のデータがあります。
サプリメントは化粧品のように即効性はありませんが、顔以外の肌にも効果が期待できるという点を考えると、
セラミドをサプリメントで摂取するというのは悪くないのではないでしょうか。
補足として、化粧品として利用する場合には「ヒト型セラミド」がおすすめだと述べましたが、
セラミドサプリメントに使われているのは、米やコンニャクのような植物性の食品を由来とする植物性セラミドです。
なら、食品からでも摂取できるのでは?と考えてしまいますが、
食品に含まれているセラミドって量が少ないこと、また消化吸収されにくいんですよね。
しかしサプリメントなら、ある程度の量を簡単に摂取できますし、
消化吸収もされやすくできています。
一定量を長く摂り続けることで効果が期待できるものですから、
食品よりも簡単に摂れるサプリメントを利用する方が、断然効率は良いといえるでしょう。
以上となります。
どちらかというと今回の記事は、加齢によって肌のセラミドが減少することで、
乾燥しやすくなってしまった肌質の方向けにまとめています。
ただ20代の若い世代であっても、乾燥しやすい肌質の方ってセラミドが不足していることがほとんどであり、
そういった方にも参考にしていただけると思います。
実践できそうなものがあれば、生活に取り入れてみてください。