人間とは異なり、一般的に猫は1歳で大人になると言われており、1歳までの時期を「子猫」と呼びます。
子猫の時期、意外と短いんですよね。
猫の1歳は、人間でいうと10代終わりから20歳になるくらいの年齢で、そのころになると「成猫」と呼ばれます。
基本的に猫の食事は、年齢や体の状態に応じたキャットフードを与えておけばそれでよいのですが、
子猫のうちは月齢に応じてエサの内容や与え方を細かく変える必要があり、ちょっとややこしいかもしれません。
というわけで以下、詳しく解説していきます。
月齢に応じた子猫のエサの与え方
まずは、子猫の月齢に応じたエサの与え方についてご紹介します。
ちなみに母猫がいる場合は、普通は母乳で育てることになるため、
母猫の食事や体調メインで気配りしていれば大丈夫です。
しかし母猫がなんらかの理由で育児放棄してしまった場合、
また母猫がいない場合、代わりに飼い主がミルクやフードを与えていかなくてはなりません。
以下、そのやり方について解説しています。
生後3週間まで
生まれてから3週間ほど経つまでは、子猫はミルクを飲んで育ちます。
あらかじめ子猫用のミルクを用意しておき、ペットショップなどで手に入る子猫用の哺乳瓶を使ってミルクを与えましょう。
何らかの理由で哺乳瓶から吸うことができない場合は、シリンジやスポイドなどで少しづつ与えるようにします。
シリンジ(針のない注射器)
シリンジやスポイドは、猫が大きくなっても薬を与えたりする場合に利用できるので、
多めに買っておくと何かと重宝すると思います。
あと猫用のミルクはパックに入った液状のものや、粉ミルクもあります。
最初のうちは頻繁に与えなくてはならないことと、また保存の面を考えると粉ミルクが断然便利です。
なお、ここで注意したいのが人間用の牛乳は与えない方が良いということ。
人間用の牛乳には、消化しづらい乳糖が含まれています。
人間でも、牛乳を飲むとお腹が緩くなってしまう人いますよね?それは牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が少ない、あるいは作ることができないからです。
それと同様に、猫によってはその乳糖を分解する酵素が少なく、お腹を壊してしまう恐れがあるんです。
なので、猫用のミルクを買ってきて与えるようにしてください。
猫用のミルク一覧をみる(Amazon)
与えるミルクの量については猫によって大きく異なりますが、
大まかな目安としては、生後20日頃までは1日に合計40~80ml程度の猫用ミルクを7~8回ほどに分けて与え、
30日頃までには1日80~100ml程度の量を、6回くらいに分けて与えられるように持っていきます。
・生後20日頃まで 40~80m/日 7~8回
・21~30日頃 80~100ml/日 6回程度
なお、生後2~3週間ごろから乳歯が生えはじめます。
補給瓶の乳首がゴム出てきている場合、歯でちぎってしまうことがあるため、注意してみておきましょう。
生後3~4週間
体重が増え、子猫がミルク以外の食べ物に興味を示しだす時期です。
生後3~4週間を目安に、離乳食へ移行します。
1日に4~5回に分けて与えるようにしましょう。
離乳食は市販の子猫用
のものを使うか、子猫用のドライフードをお湯やミルクでふやかして与えます。
ドライフードをふやかしたものを食べてくれるのなら、専用の離乳食を買うよりも安くあがりますし、
通常のドライフードへの移行もしやすいのでおすすめです。
ふやかし方についてはこちら:猫にふやかしたキャットフードを与えるメリットとデメリット、正しいふやかし方知っていますか?
注意点としては、ミルクから離乳食への移行時にいきなりすべてを変えるのではなく、これまで飲んでいたミルクに混ぜて与えはじめましょう。
そして徐々にミルクの割合を減らし、離乳食の割合を増やしていきます。
最初はそれがエサだと認識できないこともあります。
手のひらに少量のせて口元へ持っていき、ミルクのにおいで誘うと食べてくれることも。
また、エサ入れのそばに常に水を用意しておくようにしてください。
生後6~8週間
生後6~8週間を目安に、離乳食から子猫用ドライフードへと移行します。
専用の離乳食ではなくドライフードをふやかして食べさせていた場合は、ドライフードの水分の割合を少しずつ減らしていってください。
はじめは食いつきが悪いので、離乳食にドライフードを少しずつ混ぜて与えるようにしましょう。
徐々に割合を増やし、最終的にドライフードへと完全移行します。
エサは1日4~5回に分けて与えましょう。
生後半年~1年
子猫用のドライフードをメインに与えます。
生後4~5ヶ月でほぼ成猫並みの体格になると言われていますが、まだまだ育ち盛りで活動量も多いため、多くのエネルギーを必要とする時期です。
市販のエサは「~12ヶ月まで」「~1歳まで」と書かれた、高カロリーの子猫用のものを使います。
また1歳になるまでに、食事の回数が1日4~5回から2回程度になるよう、様子を見ながら徐々に調整していきましょう。
ここまでくれば、飼い主の負担もかなり小さくなるはずです。
子猫にエサを与える場合に知っておきたいポイントと注意点
子猫にもよりますが、大体は先にあげたような流れで食事を与えていれば大丈夫です。
ただ食事を与える際、頭に入れておきたいいくつかのポイントと注意点がありますので、ご紹介いたします。
食事の回数を細かく分ける理由
ここまでの説明で、生後半年までの子猫のうちは、エサは1日4~5回に分けて与えるように述べました。
思ったよりも細かく与えなくてはならないため、飼い主自身が忙しいと結構大変だと思うのですが、
大変だからといってむやみに回数を少なくしてはいけません。
子猫はまだ消化機能が発達しておらず、一度に多くの量を食べることができません。
しかし成長期であるため、カロリーは多く必要とするのですよね。
なので十分な栄養とカロリーを摂取できるよう、少量のエサを何度かにわけて与えなくてはならないんです。
最初に1日4~5回と書きましたが、
もしエサへの食いつきが悪いようなら、一度に与えるエサの量が多すぎる可能性があるため、
その場合は1回分のエサの量を減らして回数を増やしましょう。
体重ごとの1日に必要な食事量については、フードの袋に明記されているので参考にしてみてください。
猫の様子をみながら、生後半年~1年の間に、5回から4回、4回から3回と徐々に減らしていきます。
1歳になったら食事の回数は1日2回にしましょう。
その頃には消化機能も向上しているため、一度に与えるエサの量が多くてもきっちり消化できるはずです。
ミルクを吐き出してしまう
まだ生後何週間かの子猫の中には、ミルクを飲むのが上手くない子もいます。
ミルクを飲むたびに吐き出してしまったり、むせる場合は、その猫にとって哺乳瓶の乳首の穴が大きすぎるのかもしれません。
一度にたくさんのミルクが喉に流れ込んでしまうために、むせやすくなるんです。
穴が大きすぎないか、またミルクを飲ませる時に、乳首を喉の奥の方まで入れすぎてしまっていないかを確認して下さい。
生え始めの歯によって、乳首を噛み切って穴をあけてしまう猫もいるため、マメにチェックするようにしましょう。
子猫の時期に食べものの好みが決まる
猫の食べ物の好みは、生後3~4ヶ月で決まると言われています。
この時期に与えるものが、その後の一生の好みを決定づけると言っても過言ではありません。
たまに猫が可愛いから、欲しがるから(興味を持つから)といって、
自分が食べているお菓子や食べ物を与える飼い主がいますが、人間の食べ物を与えるのは絶対にやめましょう。
塩分や糖分が濃い人間の食事は、猫の体に大きな負担となってしまいます。
特に子猫のうちに人間の食べ物の味を知ってしまうと、その後もしつこく狙うようになり、
人間が食事をするのも大変になりますし、食べものを隠すのも大変になります。
離乳食になかなか移行できない場合
ミルクから離乳食に切り替えたばかりのときは、食いつきが悪いことが多いかもしれません。
これは、ミルク以外のものは子猫にとって食べ物だと認識できないからです。
手のひらや指の先に離乳食をつけて、舐めさせるなどの工夫をしてみましょう。
離乳食を食べないからといってそのままにしておくと、必要な栄養とカロリーが摂取できなくなるため、
ミルクの割合を多めにして様子を見ながら、徐々に離乳食の割合を増やしていきます。
なお、離乳食へと移行してもミルクを欲しがる子猫も多くみられます。
この場合は我慢させず与えても構いませんが、
ミルクで栄養を摂らせるのではなく、あくまでもカロリーのある飲み物として補助的に与えてください。
離乳食とのバランスを考えることが大切です。
食べやすい食器を使う
利用する食器が猫にあわないと、食事のたびに猫にストレスがかかります。
だからといってどうにかなるわけではありませんが、
食べにくいと残してしまったり、食べるたびにこぼれて掃除が大変です。
深すぎる器は食べづらく、浅すぎる器はエサがこぼれてしまいます。
また小さすぎる器は、猫が食事をするたびにヒゲが引っかかるため、猫にとってストレスになりやすいといわれています。
さらには、軽すぎても器が動いて食べづらいため、ある程度どっしりと重さがあり、ほどよい深さの器を使うといいでしょう。
猫の体のサイズや食べる量、食べ方、年齢などによって最適な器の形状や大きさは異なるため、
とりあえずはいくつかを試してみることです。
子猫時代は体格が決まる時期でもある
ほ乳期から離乳期はとくにそうですが、子猫のエサは回数が多くマメな対処が必要になるため、飼い主は結構大変です。
ただ、この時期の猫って本当に可愛らしいんですよね。
ミルクを飲む姿を見る時間が、毎回楽しみだという飼い主もいることでしょう。
子猫時代はあっという間に終わってしまいます。
過ぎてしまってから、もっとああしておけばよかった…なんて方もいるはず。
色々と手間のかかる時期ですが、今しか経験できない時期だと考えて猫と向きあいましょう。
あと、1歳までの子猫時代は体格が決まる時期でもあります。
フードの好みが決まる時期でもあるため、偏食の癖がつくとあとあとずっと大変です。
高品質なフードでしっかりとした体づくりを目指すとともに、
可愛いからといって、人間の食べ物を与えたりすることのないようご注意ください。