キャットフードは、保存状態が悪いと酸化したり雑菌が繁殖したりして品質が悪くなる恐れがあります。
特に最近は、猫の健康のために防腐剤を配合しないフードが増えていますが、
防腐剤を配合していないということは変質しやすいということ。
じゃあ、防腐剤を配合しているフードの方が良いのかというとそんなことはありませんが、
防腐剤無添加のフードは扱い方を間違うと、気づかないうちに劣化して猫の健康に悪影響を与えるかもしれません。
体に良いものをと考えて選んだフードが、猫の健康を脅かすなんて皮肉ですよね。
キャットフードの正しい保存方法を理解し、品質の劣化を防いでいつでもおいしいフードを与えられるようにしましょう。
キャットフードの保存状態が悪いとどうなる?
キャットフードは、開封後1ヶ月で食べきるように言われることが多いです。
キャットフードの材料やお住まいの場所の環境にもよりますが、その程度の期間、品質を保つことを想定して作られているためです。
しかし、保存状態が悪いとそれよりも早く劣化することもあるため、注意が必要です。
キャットフードの風味が飛んでしまう
キャットフードは長く保存すればするほど、風味が飛んでしまいます。
特に空気に触れやすい場所に保存すると、短い期間でも風味が飛んでしまいやすいです。
猫は実は味オンチなのですが嗅覚が非常に発達しているため、食べ物は味よりも見た目よりもにおいで判断します。
そのため、時間が経ってフードのにおいが弱まると、味が変わった、もしくは美味しくないと感じてしまい、食いつきが悪くなることがあります。
新しいフードのほうが食いつきがいいのも、開けたてはにおいが強いからなんですね。
酸化する
猫用のフードは脂質が多めに含まれているため、酸化しやすいです。
酸化したから即食べられなくなるわけではありませんが、
酸化した食べものは低品質なフードと同様に、体に良いものではありません。
人間にとっても、酸化した油は健康によくないといわれますよね?
油分が酸化すると過酸化脂質という物質が生成されますが、
この過酸化脂質は動脈硬化やがんなど様々な病気を引き起こす原因となったり、美容面においても悪影響を及ぼします。
細胞を錆びさせる物質とも表現できるでしょうか。
もちろん、酸化していると思われるフードを食べさせたからといって、すぐに病気になるわけではありませんが、
猫が吐いたり下痢をする原因にもなりますし、長期間与え続けることで老化を早めてしまうかもしれません。
この酸化は、キャットフードを開封した時から急速にすすみます。
酸化という言葉どおり、酸素に触れれば触れるほど酸化が進んでしまうため、
フードの保存の仕方が適当だとあっという間に品質が落ちてしまうのですよね。
キャットフードの品質を保つためには、保存状態が重要なカギを握るのです。
未開封のフードでも少しずつ酸化は進んでいる
キャットフードは開封すると急速に酸化しはじめます。
では、未開封の状態であれば安心かというと、開封した状態よりは酸化はしづらいものの、
それでも徐々に酸化が進みます。
冷暗所に保管していたフードで賞味期限内であるのならばまだしも、
賞味期限を大幅にすぎていたり、直射日光のあたる場所に長期間保管していたフードは要注意。
袋を開けた時に油臭いにおいがしたり、ウェットフードなら水分と固形分が分離しているなど、
あきらかに様子がおかしいフードは猫に与えてはいけません。
セール時などに、キャットフードをまとめ買いする飼い主は少なくないと思いますが、
一定期間で消費しきれる量にとどめましょう。
そのフード、劣化してる?見分け方について
キャットフードは見た目では変化が分かりづらく、劣化や酸化に気づきにくいパターンも少なくありません。
なので、ちょっとくらい「におい」が変わっていても大丈夫だろう…となりやすいのですが、
新しいフードと比較して状態が違う場合は与えない方が良いでしょう。
【劣化したキャットフードの特徴】
・においや色がおかしい
・ベトベト、ぶよぶよしている
・水分と固形物が完全に分離している(ウェットフード)
例えば通常時と比較してにおいが弱かったり、変色していたり、触るとベトベトしていたりするようなら与えるのはやめてください。
ウェットフードも同じく、色やにおいがあきらかにおかしかったり、水分と固形物が分離している場合はフードが劣化している可能性があります。
あと、猫がにおいを嗅いでも口をつけようとしない場合や、お皿にあけてから時間が経っている場合も破棄してください。
猫は人間よりもにおいに敏感です。
好き嫌いの多い猫ならばともかく、いつも食べているフードへの食いつきが極端に悪い場合は、フードが劣化している可能性があります。
劣化したフードを与え続けると嘔吐や下痢を引き起こしたり、将来的には病気を発症する原因にもなりかねません。
あと、開封してから時間が経ちすぎたフードを猫に与えるのもおすすめできません。
ドライフードの場合は開封後1か月以内、ウェットフードは1日以内に消費するようにして下さい。
万が一、フードがたくさん余ってしまって捨てるにしのびない場合は、適切な方法で冷凍し、早めの消費を心掛けましょう。
キャットフードの正しい保存方法と、保存に便利なアイテム
キャットフードの保存は、酸化を防ぐためになるべく空気に触れさせないことが大切です。
保存の仕方が悪いと、開封後1ヶ月もたたないうちに風味が変わってしまい、猫の食いつきが悪くなったり食べてくれなくなることもあります。
正しい保存の仕方について見ていきましょう。
基本的な保存方法
キャットフードの酸化を防ぐためには、陽の当たらない涼しい場所に置き、温度変化が激しい窓辺やストーブの近くなどは避けましょう。
また劣化を抑えるためには、紙袋の場合は密封容器に移し替えるか、袋ごと入れられるフードストッカーを使うのがおすすめです。
専用の容器には可愛らしいものもあるため、そういったものを選べばインテリアの邪魔にならず、虫の侵入や猫のいたずらも防ぐことができます。
その際に乾燥剤を一緒に入れておくことで、カビの防止にも役立ちます。
アイリスオーヤマのフードストッカー。
蓋にパッキンが付いているために密閉しやすいこと、また蓋の内側には除湿剤(別売り)や計量スプーンを取り付けられるようになっています。
約3kgと大容量であるため、ドライキャットフードの保管には便利です。
フードを直接入れるのではなく、袋ごとストッカーに保管するのもおすすめ。
持ち手がついているため、ちょっとした移動時にも扱いやすいです。
こちらもアイリスオーヤマの製品。
約4kgまでのドライフードをを保存可能であるなど、
袋のまま収納するのに便利な大容量サイズのフードストッカーです。
フタの裏側に除湿剤(別売り)をセットできること、また軽量スコップ付きで便利です。
上でご紹介したフードストッカー用の除湿剤。
といっても、この除湿剤しか取り付けられないわけではないため、100均などで売られている食品用の除湿剤を用いても良いと思います。
小分けにして保存する
面倒でないのなら、フードを開封した時に1食分ずつ小分けしておくと、常に新鮮なエサを与えることができます。
小分けにはタッパーを利用しても良いですが、普通のタッパーだと空気に触れやすくなるため、真空タイプの容器やチャック袋がおすすめ。
真空タイプでない容器を使う場合は、乾燥剤を一緒に入れると酸化を最小限に抑えることができます。
真空ポンプと保存袋のセット。
簡単な操作で脱気し、食材を密封保存できるリーズナブルな保存袋です。
中に入れるものにもよりますが、上手くやれば袋は繰り返し使うことができます。
ドライフードを小分けする場合は、この保存袋に入れて脱気したものを、さらにフードストッカーなどにまとめて入れておくと良いでしょう。
ウェットフードの場合は、ウェットフードをラップに包んだ上で保存袋に入れると、
脱気の際に袋の内側が汚れにくく扱いやすいです。脱気したらそのまま冷凍しましょう。
なお、真空とはいっても完全に真空状態にできるものではなく、時間とともに空気が入っていくため過信は厳禁。
あくまでも、空気に触れさせにくくするものだと考えて下さい。
補足として最初のみ、真空ポンプが付いたスターターセットを、次からは保存袋のみを買い足すようにしてください。
脱気できるタイプのフードストッカーも便利。
上記はペット用ではありませんが、容器の酸素を抜くことができるため、入れたフードの酸化を防げます。
もちろん、中の酸素を完全に抜くことができるわけではありませんが、そのままストッカーに入れるよりもフードの劣化は進みづらいはずです。
冷蔵庫保存は基本的にウェットフードのみ
なんでも冷蔵庫に入れておけば安心…なんて考える方もいるようですが、
ドライフードの場合は温度差で結露してカビが生える可能性があるため、冷蔵庫保存は向きません。
一方で、缶詰やパウチなどのウェットフードは、
特に夏場などは常温においておくと菌がわきやすくなるため、冷蔵庫を利用して一時的に保存しておきます。
開封後1日以内には使い切るようにしましょう。
冷凍する
ついつい安さにつられてキャットフードの大袋を買ってしまい、短期間で消費しきれそうにない…なんてこと、あると思います。
そんなときには、フードを1食分ずつ小分けにして冷凍してしまうと良いでしょう。
冷凍しているとはいえ、フードが直接空気に触れると酸化が進むため、真空保存袋やジップロックなどに入れて保存してください。
最初からフードを短期間で消費できないことがわかっているのなら、開封すると同時にある程度の量を冷凍保存してしまうと良いでしょう。
使う分はあらかじめ冷蔵庫に出しておき、ゆっくりと自然解凍します。
ドライフードだけでなく、ウェットフードも冷凍保存が可能です。
ただし、日にちが経つほど水分が抜けて風味が落ちるため、冷凍したフードは1週間程度で使い切るのがおすすめ。
使うときはドライフードと同じく、冷蔵庫で自然解凍しましょう。
レンジで解凍しようと考える方もいるかもしれませんが、レンジでの解凍はフードの温度が高くなりすぎやすいことと、
フードの風味が変わってしまうために食いつきが悪くなる猫もいます。(これは猫によります)
なので急激に解凍するのではなく、ある程度の時間をかけて解凍するのがおすすめです。
風味が変わった等の理由で解凍後のウェットフードを食べてくれない場合は、軽く鰹節などを混ぜてやると、そのにおいにつられて食べることがあります。
ベストなキャットフードの保存方法は猫の環境によって異なる
最近では、中身が劣化しづらい袋を利用したキャットフードも増えてきましたが、
そうではあっても開封後はフードの劣化は急速にすすみます。
買ってきたその袋のままで保存しておくのは、品質保持という面から考えるとおすすめできません。
密閉・真空できる専用のフードストッカーや保存袋を使用し、酸素に触れるのを最小限に抑える保存方法が理想的です。
とはいえ、どのような保存方法がベストなのかは、飼っている猫の頭数や年齢、食事の内容などによって異なります。
多頭飼いされている場合は小分け保存なんてしていられませんし、
高齢で小食になった猫の場合、できるだけフードが長持ちする保存方法が適しています。
また防腐剤が使われていない無添加フードの場合、
通常のキャットフードよりも保存の仕方に気をつかう必要がでてくるなど、ご家庭の環境や利用するフードによって向く保存方法は異なるのですよね。
ご家庭の環境にあわせて、実践しやすそうな保存の仕方を試してみてください。