乾燥肌には、セラミドを配合した化粧品が効果的だとよくいわれます。
理由は、肌の角質層で水分を抱えているのがセラミドであるからで、水分不足の乾燥肌は間違いなくセラミドが不足しています。
多くのセラミド化粧品は、そんなセラミド不足の肌にセラミドを補うことで乾燥を改善する、というコンセプトの化粧品です。
何だかとても良さそうですよね?
…そう思って使いはじめてみたけれど、思ったような効果が全然感じられないなんてこと、よくある話です。
ひょっとすると、セラミドの効果が実感できるまでには時間がかかるのでしょうか?
今回は、セラミド化粧品を使いはじめてから効果が感じられるまでの期間のめやすについて、お話ししたいと思います。
セラミド化粧品の効果が感じられるまでの期間は?
セラミド化粧品の効果が実感できるまでの期間についてお話しする前に、
セラミド化粧品が乾燥肌に良いといわれる理由について解説しておきます。
セラミドが乾燥に良いといわれる理由
冒頭でも少し触れたとおり、セラミドはもともと肌の角質層内に存在する成分のひとつで、細胞間脂質とも呼ばれます。
肌の角質層には水分が含まれていますが、その水分の大半を角質層内にとどめる役割を果たしているのが、セラミドなんですよね。
セラミドがあるからこそ水分が保たれているわけですが、年齢や生活習慣、スキンケアの仕方が原因でセラミドが失われてしまうと、
肌は水分を抱えきれなくなって乾燥してしまいます。
セラミドは定期的に肌で産生されますが、乾燥肌の方はなんらかの理由により、
セラミドが産生されるスピードよりも失われるスピードの方が速いため、不足した状態になりやすいのです。
セラミドが不足した状態では、角質層内に水分を留められないため、
いくら外側から水分をあたえてもあまり意味がありません。
そこで活用したいのが、セラミド化粧品です。
ある程度のクオリティを持つセラミド化粧品には、肌に存在するセラミドと同じ働きが期待できるセラミドが配合されており、
利用することでセラミドを補うことが期待できます。
たいていの保湿成分って、角質層の表面にとどまって保湿作用を発揮するのみなんですよね。
しかしセラミドは、角質層内になじんで保湿作用を発揮します。
そもそもの乾燥の原因であるセラミド不足に、アプローチできるというわけです。
一般的な保湿化粧品よりも、セラミド化粧品が効果的だといわれる所以はそこにあります。
セラミド化粧品を使いはじめてから効果が実感できるまでの期間は?
セラミド化粧品は、セラミド不足の角質層に外部からセラミドを補うことで、その作用を発揮します。
保湿力アップのサポートをしてくれるわけですが、当然ながら効果が実感できるまでの期間には個人差があります。
利用する化粧品にもよるため一概にどうとはいえませんが、
軽度の乾燥肌の場合は、比較的すぐに効果を実感できると思います。
私自身も、これまでにさまざまなセラミド化粧品を利用してきましたが、
ものすごく乾燥肌というわけではないためか、使ったその時から乾燥しにくくなったなという実感がありました。
もちろん、使い続けなければまたセラミドが減ってしまって乾燥気味になる可能性が高いのですが、
少なくとも使い続けているうちは大丈夫だったんですよね。
特に、乾燥によるかゆみに効果が大きかったです。
しかし、ひどい乾燥肌の方の場合だとそうはいかないでしょう。
セラミド化粧品によって、角質層にセラミドが蓄積するまでにある程度の時間がかかること、
また元の肌の状態がかなり悪い場合、ターンオーバーによって新しい肌が出てくるまでは調子の悪い状態が続く可能性が高いです。
肌の状態が悪すぎると、何をつけても効果は出にくいんです。
多少なりともセラミドの効果が実感できはじめるのは、ターンオーバーによって肌が新しく生まれ変わったあとでしょう。
もちろん、セラミド化粧品で保湿をしっかりと行うなど、
肌に負担をかけないスキンケアを心がけた上でです。
で、結局セラミド化粧品を使いはじめてからどの程度で効果が実感できるのか?
利用する製品にもよりますし、個人差も大きいのですが、
ターンオーバーの1サイクル~2サイクルくらいは待つべきだといえるでしょう。
ちなみにターンオーバーのサイクルには個人差があり、特に年齢を経るごとに1サイクルが長くなります。
人によって異なりますが、20代で健康な肌なら28日周期、
30代から40代になると45日くらい、さらに50代以降になるともっと長くなります。
年齢肌ほど、セラミド化粧品の効果が実感できるまでには時間がかかると考えた方が良いでしょう。
セラミド化粧品の効果が感じられないのはなぜ?
セラミドを配合した化粧品を使いはじめたけれど、いわれているような効果が全く感じられない。
他の保湿化粧品と大して変わらない…。
そんな風に感じている方、一定数おられるのではと思います。
なぜなのか?
効果が感じられない理由をあげてみました。
保湿効果が低い種類のセラミドを使っている可能性
当記事内ではあえて「セラミド化粧品」と述べていますが、実はセラミドは1種類ではありません。
セラミドにもさまざまな種類が存在しており、その種類によって働きが異なるため、
利用するセラミドによって使いごこちが異なってくるんです。
以下をご覧ください。
【植物性セラミド】
植物原料を由来とするセラミド。
例えば米や大豆、とうもろこし、コンニャクなどを原料としています。
多少の保湿作用はありますが、肌に存在するセラミドとは異なるものであり、
角質層のセラミドは増やせません。
成分表記欄には、コメヌカスフィンゴ糖脂質、トウモロコシ胚芽抽出物、植物性セラミドなどと記載されます。
【動物セラミド】
現在主に使われている動物セラミドは、馬の脊髄から抽出されたセラミドです。
動物性セラミドは人の肌には比較的なじみやすい性質を持っていますが、肌にあるセラミドとは似て異なるものであり、
その働きも異なります。
セラミドではなく1種の保湿成分だと考えた方が良いでしょう。
ただし、この動物セラミドには肌のセラミド合成を促す働きがあるとされており、
間接的にはセラミドの増加に役立つのかもしれません。
価格がやや高めなのが難点。
成分表記欄には、ビオセラミドやセレブロシド、ウマスフィンゴ脂質などと記載されます。
【合成(疑似)セラミド】
合成セラミドはその名のとおり、化学的に合成されたセラミドです。
セラミドに似せて作られているため構造は似ているのですが、その働きは異なっており、
肌にあるセラミドは増やせません。
ただ、化粧品には高濃度に配合しやすいこと、
そして高濃度に配合すれば肌のバリア機能を高める効果があるため、乾燥で肌の調子が悪い場合に利用する意味はあります。
安価なところも魅力。
成分表記欄には、ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミドなど、いかにも化学的な物質といった名称で記載されています。
【ヒト型セラミド】
ヒト型セラミドは、酵母を由来とするセラミド。
天然成分を材料に合成されたセラミドではあるのですが、先にあげた合成セラミドとは異なり、
肌の角質層に存在するセラミドと同じ働きをします。
数あるセラミドの中で角質層のセラミドを補えるのは、このヒト型セラミドのみ。
角質層で正常なラメラ構造を作ることにより、保水力をアップします。
価格は高めですが、肌の乾燥を改善するためにセラミドを利用するのなら、このヒト型セラミドを選ぶべきです。
ちなみにヒト型セラミドにも種類があって呼び方が異なるのですが、
いずれも「セラミド+数字」や「セラミド+アルファベット」といった具合に、頭に「セラミド」の文字が付いているため、
成分表記欄を見ればヒト型セラミドが使われているかどうかがすぐにわかるはずです。
セラミドには大きくわけると4種類に分類されますが、そのうち肌のセラミドと同等の働きをするのは「ヒト型セラミド」のみ。
それ以外のセラミドは、保湿成分としてはある程度の効果があるものの、乾燥肌の改善を期待できるほどではありません。
実際に、さまざまなセラミド化粧品を利用されたことがある方ならわかると思いますが、
ヒト型セラミドとそれ以外のセラミドとでは使い心地も大きく異なるのですよね。
セラミド化粧品を使い続けているのに一向に乾燥が改善されない、また他の保湿化粧品と大して変わらない感じがする場合、
ひょっとすると「ヒト型セラミド」以外のセラミド化粧品を使用しているのかもしれません。
今一度、成分表記欄を確認してみてください。
あと、ヒト型セラミドを配合した化粧品であっても、
あまりにもセラミドの配合量が少ない場合はやはり効果は薄くなるでしょう。
種類にもよりますがヒト型セラミドの化粧品原料って、結構高いのですよね。
なので、低価格で販売されている製品は、セラミドの配合量が少ないことが考えられます。
乾燥の改善目的でセラミド化粧品を買うのなら、そこそこのお値段の製品を選ぶようにしましょう。
肌に炎症がある
ヒト型セラミドを配合した化粧品を使っているけれど、いまひとつ効果が感じられない場合に考えられることととして、
肌の炎症があります。
人の肌にはセラミターゼと呼ばれるセラミド分解酵素が存在しますが、
この分解酵素は年齢を経るごとに活性化しやすくなります。
また年齢に関係なく、肌に炎症がある場合にも活性化しやすくなるんですよね。
セラミド分解酵素が活性化すると、肌にもともと存在するセラミドが分解されやすくなることはもちろん、
化粧品より補ったセラミドの分解もすすみます。
分解されればセラミドとしての働きはできなくなってしまうわけですから、いつまでたっても乾燥が改善しません。
化粧品をせっせと塗るよりも、まずは肌の炎症をしずめることが先決となります。
補足として、肌に炎症が起きるとセラミド分解酵素だけではなく、コラーゲンやエラスチンのような成分を分解する酵素も活性化しやすくなります。
セラミドをはじめ、コラーゲンもエラスチンも健康できれいな肌には欠かせないものであり、
分解酵素が活性化された状態が続くのはどう考えても美容にはよくありません。
日頃からできるだけ肌に炎症を起こしにくいスキンケア、生活習慣を心がけるようにしましょう。
化粧品が肌に合っていない
そこそこクオリティが高いと思われるセラミド化粧品を使っているのに、一向に効果が感じられない、また逆に肌の調子が悪くなったなんて方。
セラミドの効果云々の前に、化粧品が肌に合っていないのかもしれません。
ある程度のお値段以上のセラミド化粧品には、セラミド以外にもさまざまな美容成分が配合されていることがほとんどです。
セラミドは保湿成分ではありますが、それ単体だとさっぱりした使い心地になりやすいんですよね。
なので、より保湿感をアップするために複数の美容成分が追加されることが多いんです。
美容成分がたくさん入った化粧品は、あう人にはとても良いものなのですが、
配合成分の数が多いとそれだけアレルギーの問題も出やすくなります。
化粧品に配合されている成分にアレルギーを持っている方の場合、当然その化粧品は使えません。
化粧品を使ってはっきりアレルギーだと分かる症状が出ているのならば、まだわかりやすいのですが、
アレルギー反応を起こすほどの強いアレルギーではない場合、気づかずに使い続けてしまう可能性があります。
効果が感じられない、肌の調子が悪くなったように感じるのは、アレルギーなどによって微細な炎症が起きているせいかもしれません。
使い続けても効果が見られない場合は、思い切って化粧品の種類やメーカーを変えてみることをおすすめします。
繰り返しているうちに、肌に合う製品がみつかるはずです。
以上となります。
せっかく買った化粧品の効果が感じられないと、がっかりしますよね。
しかしセラミド化粧品の効果が実感できるまでの期間には、個人差があります。
すぐに効果が感じられなかったとしても、化粧品が肌に合わないなどの理由がないのならしばらく続けてみることです。
確実に肌に合わない場合や、一定期間使っても効果が感じられない場合は、別の化粧品に変えてみましょう。
幸い、セラミド化粧品ってさまざまなメーカーからたくさんでているため、探せば自分の肌に合ったものが必ず見つかるはずです。