化粧品類を見ていると、○○原液なんていう化粧品をみかけることがあります。
例えばプラセンタ原液、あるいはセラミド原液なんて具合にです。
原液というからには、まったく薄められていない成分濃度の高い化粧品を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
それは間違いではないのですが、この原液を「美容成分100%の液体」だと勘違いしたり、美容液と混同されている方が結構たくさんいるんですよね。
まあそういう製品もあるのかもしれませんが、本来は原液とはそういものではありません。
なんていっている私自身も、大昔は原液のことを美容液だと勘違いしていました。
高濃度の美容成分そのものだから、普通の化粧品よりも効果が高いに違いないなんて思い込んでいたのですが、実はそれって結構怖いことです。
誤った使い方で原液を利用することにより、肌に大きな負担をかけてしまう恐れもあります。
今回は、原液がどういったもので何をするためのものなのか、
また実際に原液を利用してみたい…なんて方におすすめできる、セラミド原液についてお話しします。
美容成分の原液とはいったい何?
原液には、加工前のもとの液という意味合いがあります。
原料の液体、といったところでしょうか。
ならば美容成分の原液とは「加工前の美容成分の液体」なんて意味になりますが、
具体的にはどういうもののことを指しているのでしょうか?
原液は、化粧品のもととなるもの
美容成分の原液を、濃厚な美容液だと勘違いしている方が結構多いのですが、
ほとんどの原液は化粧品の原材料に利用する液体です。
化粧品のもととなるもので、主な美容成分のほかにも様々な成分が含まれていることがほとんどです。
例えばヒアルロン酸原液には、ヒアルロン酸のほかに水や防腐剤といった成分が含まれていますし、セラミド原液もしかり。
美容成分100%でないことはもちろん、そのまま肌に塗布するようなものではありません。
なかには美容液と原液の境界があいまいで、
美容液的な使い方をする化粧品を「原液」として販売している製品もあってその違いがややこしいのですが、基本は化粧品を作る際にまぜる成分のひとつだと考えるとわかりやすいでしょう。
原液には美容成分が高濃度に配合されている でも美容液的な使い方は危険
原液は薄めて使うものです。
なので当然ながら、薄められてちょうどよくなるくらいの高濃度で美容成分が配合されていることがほとんど。
ヒアルロン酸やセラミドなどの成分が、一般的な化粧品よりもたくさん配合されているんです。
そういった理由から、原液を美容液的なものとして利用する人もおられますが、
原液の種類によっては、美容液的な使い方をするのは危険かもしれません。
あらかじめ、美容液のように使うことを想定して売られている原液であるのならばともかく、
本当に化粧品のもととなる原液であるのなら、防腐剤等もそれなりに多く配合されているはず。
防腐剤等も、薄めて使うには問題のない濃度であるはずなのですが、
原液を直接塗るとなると肌には大きな負担がかかる恐れがあります。
化粧品に使われる防腐剤といえば、例えばパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)や、安息香酸、
フェノキシエタノールなどが有名でしょうか。
最近の化粧品に使われる防腐剤は刺激性の低い成分が多いため、低濃度で使う分には問題のないことがほとんどです。
しかし、そんな刺激性の低い防腐剤であっても、敏感肌の人の中には何らかの刺激を感じたり肌が反応してしまうことがあります。
防腐剤の濃度が高いと、そういった肌トラブルが起こる確率も高くなってしまうんです。
美容液としても使える原液であるのならばともかく、化粧品の原料として提供されている原液については、
肌には直接塗布しない方が安全です。
そのセラミド原液 使う意味ありますか?
原液を美容液として利用するのはおすすめできませんが、化粧品の材料として利用するのには何かと便利なものです。
あらかじめ必要なものが含まれていることが多く、揃える材料が少なくて済むため、化粧水やクリームのような化粧品が手軽に作れるんですよね。
しかも、美容成分が配合されたメーカーの化粧品を買うよりも、原液から化粧品を作った方がコストは抑えらえます。
なら、セラミド化粧品ではなくセラミド原液を購入して、乾燥肌用の化粧品を作ろう…なんて考える方もいるかもしれませんが、
ちょっと待ってください。
安すぎるセラミド原液には注意
セラミド原液って高価なものもあれば、お値段がお手頃なものも多いんですよね。
もちろん、安すぎるものはセラミドの濃度自体が低い可能性があるため、安かろう悪かろうで全然お得ではないのですが、
高濃度をうたっている製品でもそこそこ低価格だったりします。
セラミド配合の化粧品って高価なものが多いだけに、原液の方が安くて高コスパだと思い込んでしまう人もいるかもしれません。
しかし、そう単純ではないのですよね。
セラミドって1種類ではありません。
植物由来のセラミドをはじめ、動物由来であったり、化学合成によってセラミドに似せて作られたモノも存在します。
どれでもセラミドであることには変わりありませんが、その種類によって肌での働きが大きく異なってきます。
結論だけを述べると、乾燥肌を改善するためにセラミドを使う場合は、ヒト型セラミドと呼ばれる種類のセラミドを利用する必要があるといわれます。
肌の角質層にはもともとセラミドが存在しますが、ヒト型セラミドにはそのセラミドと同じ、角質層に水分を保つ働きが期待できるんです。
ヒト型以外のセラミドの多くは、セラミドではあっても肌の表面で保湿作用を発揮するだけであるため、
あえて乾燥肌に用いる意味はないのでは?というのが正直なところ。
肌の表面しか保湿してくれないのなら、セラミド以外の保湿成分を使っても同じわけで、わざわざセラミド原液を買う意味がありません。
安いセラミド原液に含まれるセラミドは、多くが植物性であったり化学合成によって作られたセラミドであって、
ヒト型セラミドではありません。
セラミド配合の原液と記載されているのに、成分表示にセラミドらしい名前が見当たらない場合は、
ヒト型セラミドは使われていないと考えた方が良いでしょう。
ヒト型セラミド以外のセラミドって、成分表示欄ではセラミドとは記載できないんですよね。
例えば「コメヌカスフィンゴ糖脂質…」なんてややこしい名称で書かれていることが多いです。
そもそもヒト型セラミド配合の原液で、格安で売られている製品ってありませんので、
安すぎる時点でアウトだといえます。
まあ、保湿にそれほどこだわらないのなら、安い製品でもよいでしょう。
しかし、乾燥肌に効果のあるセラミド原液を買いたい場合は、そこそこのお値段の製品を選ぶこと、また成分表示欄にセラミドの文字があるかどうかを確認するようにしましょう。
ヒト型セラミドを使用!セラミド原液のおすすめは?
市販の原液をうたう製品には、本当に化粧品の原液である製品と、
美容液との境界があいまいな原液が存在します。
使えればそれでよいという方も少なくないと思いますが、あえてここでは、
化粧品の材料(混ぜたりして使える)として使用するセラミド原液をご紹介します。
以下にあげた製品は植物性や動物性セラミドではなく、乾燥に効果が期待できる「ヒト型セラミド」が配合された原液です。
容量の割に価格が高めのものが多いのですが、薄めて使うという原液の性質を考慮すれば、十分にコスパは高いです。
ビーエスコスメ セラミド原液
こちら、ドイツのEvonik社の
SK-influx Vを元としたセラミド原液です。
というか成分を見る限り、ほぼそのものだと思います。
セラミド化粧品って数多く存在しますが、実は自社でゼロから製品開発している所って少なく、
大抵はもとからあるセラミド原料を使用し、そこに独自の要素を加えて○○社のセラミド化粧品なんて具合に販売されている製品が多いんですよね。
SK-influx Vはセラミド1、3、6(2)のヒト型セラミドを配合し、
さらに植物性由来のセラミドであるフィトスフィンゴシンを配合したセラミド原料です。
実際に、メーカーの製品として販売されているセラミド化粧品に使われる原液であるため、
個人が手に入れられる原液としてはちゃんとしたものだといえるのではないでしょうか。
ちなみに上記は原液ですが、これを材料として作られたセラミド美容液なるものが、同じメーカーから販売されています。
セラミド原液を水で薄め、さらに各種の成分を加えたものを美容液としているため、自分で薄めたりする必要がなくそのまま使えます。
自分で化粧品を作るのに抵抗がある、難しいと思われる方は、美容液の方を選ぶと良いでしょう。
トゥヴェール リペアエッセンス
トゥヴェールが販売する、ヒト型セラミド原液「リペアエッセンス」。
セラミド1、セラミド3(2種類)、セラミド6のほか、
セラミドに加えるとより効果的な成分を配合した原液です。
これ、製品ページに「欧州で開発された複合セラミド原液をそのまま使用」と記載があるのですが、
成分を見る限りは、前にあげた商品と同じEvonik社のSK-influx Vを元にしているのではと思われます。
多分なので確実ではありませんが。
使い方などが製品ページに詳しく記載されていることと、
20mlと小容量でその分お安く購入できるため、初めての方にも手軽に利用しやすいです。
セラミド原液は使い心地があまりよくない 入れすぎに注意
化粧品の美容効果をあげたいと、セラミド原液をたくさん化粧水に入れようなんて考えが思い浮かぶかもしれませんが、
それはおすすめできません。
普通に売られているセラミド化粧品って、なめらかで使い心地の良いものが多いですよね?
その使用感をセラミドならではの質感と思い込んでいる方は少なくないのですが、
セラミドって実は使い心地の良いものではありません。
乾燥に良いといわれる割には、単独だと保湿されている感じがあまりないだけではなく、
高濃度に入れるときしみが出て肌が突っ張った感じになりやすいです。
例えば、市販の製品でも一部を除いて、高濃度をうたったセラミド化粧品ってあまり見かけませんよね?
というより、濃度非公開のところが大半です。
濃度非公開の理由は、メーカーによってさまざまだと思いますが、
1つの理由としては使用感を優先して低濃度であることがほとんどであるため、わざわざ濃度を公開するメリットがないのだと考えられます。
低濃度とはいっても、それなりの価格の製品には効果が感じられるだけの量は配合されているはずですが、
ユーザーにしてみると「濃度が低い=効果が低い」となりやすいため、低濃度の数字をあえて公開する意味がないのでしょう。
市販品でもそんな感じで濃度を抑えていることがほとんどであるため、化粧品にセラミド原液をたくさん加えるのはおすすめしません。
製品で推奨されている濃度まできちんと薄めることと、使用感をアップさせたい場合は、
他の保湿成分も同時に配合することをおすすめします。